季節の装い

七五三の母親の着物は?訪問着・色無地・付け下げの選び方【2026年版】

七五三の母親の着物は?訪問着・色無地・付け下げの選び方【2026年版】 | Erii 和装小物店

作家Eriiの体験から

帯揚げや帯締めなど和装小物を制作していると、七五三シーズンに「母親は訪問着と色無地、どちらがいいですか」と聞かれることがある。正直なところ、この質問に一言で答えるのは難しい。会場の格式や家ごとの慣習によって、正解が変わるからだ。Erii 和装小物店では、そうした相談を受けるたびに、着物の格の考え方をひとつずつ整理して伝えるようにしている。

この記事の結論

七五三で母親が着る着物は、訪問着・色無地・付け下げという「準礼装」の中から、子どもの衣装と会場の格式に釣り合う一着を選ぶのが基本になる。

  • 母親の着物は子どもより一段控えめな格にするのが原則
  • 紋の数(一つ〜三つ)で格を細かく調整できる
  • レンタルと購入は、着る頻度と収納の手間で選び分ける

七五三の準備というと、子どもの着物や髪飾りに気持ちが向きがちで、母親の装いは後回しになりやすい。文化庁の令和5年度調査では、着物を自分で着付けられる「経験あり」の人はわずか11.0%、和装をまったく経験したことがない人は50.8%にのぼる。多くの母親にとって、着物選びは数年に一度あるかないかの判断になる。

この記事では、3種の準礼装の違いから、父親・子どもとの格の釣り合わせ方、年代別・会場別の選び方までを順に扱う。レンタルと購入の判断基準まで、Erii 和装小物店の視点でまとめた。読み終える頃には、当日の服装で迷う場面がひとつ減るはずだ。

七五三で母親が着る着物の「格」とは

七五三で母親が着る着物の格は、訪問着・色無地・付け下げのいずれかを選べば、基本的には問題ない。この3種はまとめて「準礼装」と呼ばれ、結婚式の招待客やパーティーなど、礼装に準じた場面で着用される装いにあたる。

文化庁『令和5年度生活文化調査研究事業(和装)報告書』によると、女性の礼装(第一礼装)は黒留袖・色留袖・振袖にあたる。紋の数が多いほど格が高くなり、五つ紋の黒留袖が最も格の高い装いとされる。一方、準礼装は紋を一つから三つ付けるのが一般的だが、近年は紋を付けない場合も増えているという。

「着物は織りの着物より染めの着物の方が格が高く、礼装で着用されるのはいずれも染めの着物である」——文化庁『令和5年度生活文化調査研究事業(和装)報告書』より

※訪問着・色無地・付け下げはいずれも染めの着物にあたるため、この3種の中で迷っている段階であれば、格の面で大きく間違えることはない。悩みどころは、この先の「どれを・どの場面で」という選び分けになる。

訪問着・色無地・付け下げの三種を畳の上に並べたイメージ
訪問着・色無地・付け下げはいずれも染めの着物にあたります(画像はイメージです)

訪問着・色無地・付け下げの違いを比較

訪問着・色無地・付け下げは、同じ準礼装でも柄の出方と印象が異なる。選び方の軸は、柄の華やかさと紋の有無、この2点で考えると整理しやすい。

種類 柄の特徴 紋の目安 向いている場面
訪問着 肩から裾まで柄がつながる絵羽模様。3種の中で最も華やか 一つ紋、または紋なし 神社参拝から写真館、食事会まで幅広く対応
色無地 柄のない一色染め。紋の数で格を調整できる 一つ〜三つ紋 神社での祈祷など、落ち着いた印象にしたい場
付け下げ 縫い目で柄が途切れる控えめな絵羽調 一つ紋、または紋なし 写真館中心・カジュアル寄りの食事会

※文化庁『令和5年度生活文化調査研究事業(和装)報告書』の記載をもとに、Erii 和装小物店が特徴を整理した。

経済産業省は伝統的工芸品産業の振興に関する法律に基づき、2025年10月27日時点で244品目を伝統的工芸品に指定している。西陣織や京友禅など、着物・帯に関わる産地の技術もこの制度の対象に含まれる。生地や織りの背景を知っておくと、店頭での説明も理解しやすくなる。

父親・子どもの装いと格を釣り合わせる

母親の着物は、父親と子どもの装いより控えめな格にそろえるのが基本になる。なぜなら七五三の主役はあくまで子どもであり、母親の着物が子どもより格上に見えると、写真や会場での印象がちぐはぐになりやすいからだ。

父親がスーツであれば、母親は訪問着・色無地・付け下げのいずれでも釣り合いが取れる。父親が紋付き袴を着る場合は、母親も紋付きの色無地や訪問着を選ぶと、装い全体の格がそろう。子どもの着物の選び方を先に決めてから、母親の着物を選ぶ順番にすると、全体のバランスを取りやすい。

色使いにも配慮したい。子どもの着物が赤や朱など華やかな色柄の場合、母親は淡いベージュや藤色、グレーがかった色無地を選ぶと、子どもの装いが引き立つ。逆に子どもが白系の被布であれば、母親は少し色みのある訪問着で全体を締める、という組み合わせもある。

年代別・会場別の選び方

母親の着物は、年代や会場の雰囲気によって選び方の重心が変わる。30代であれば華やかな訪問着、40代以降は色無地や落ち着いた色柄の付け下げを選ぶ母親が多い、というのが呉服店でよく聞かれる傾向だ。

ただし、これは絶対の決まりではない。40代でも訪問着を好む人はいるし、30代で色無地を選び、帯や小物で華やかさを足す人もいる。年代よりも「子どもとの色のバランス」「会場の格式」を優先して選ぶ方が、当日の写真に違和感が出にくい。

  1. 1週間前までに、着物・帯・小物一式を並べて、欠品や汚れがないか確認する
  2. 前日までに、着付けにかかる所要時間を美容室や着付け師に確認しておく
  3. 当日は、着崩れ対策として腰紐や補正用タオルを予備で1〜2本持たせておく
  4. 会場では正座や階段の上り下りを想定し、事前に草履のサイズと歩きやすさを試しておく

3歳の女児が被布を着る家庭では、母親の着物も柔らかい印象の訪問着や付け下げがなじみやすい。被布とは何かを先に確認しておくと、子どもと母親の装いのバランスを想像しやすくなる。

レンタルと購入、どちらを選ぶか

母親の着物は、レンタルと購入のどちらにもそれぞれの利点がある。次に七五三や卒業式で着る予定があるかどうかが、判断の分かれ目になりやすい。

選び方 メリット デメリット
レンタル 保管・手入れの手間がない。毎回違う柄を選べる サイズ調整の融通が利きにくい場合がある
購入 自分の体に合わせて仕立てられる。結婚式列席など次の機会にも使える 初期費用がかかり、収納・手入れの手間も生じる

文化庁の報告書は、和服そのものへの年間支出額が昭和50年の18,378円から令和2年には1,083円まで減ったと紹介している。その一方で、被服の賃借料、つまりレンタル関連の支出は近年増加傾向にあるとも指摘している。七五三や成人式など、行事のタイミングだけ着物を借りる家庭が増えている流れがうかがえる。

経済産業省の平成27年度調査によると、着物を年に数回以上着る人の割合は20代女性が最多で15.8%だった。今後も着る機会がありそうなら購入、七五三限りで考えているならレンタルという分け方が、迷ったときの目安になる。

Erii 和装小物店のおすすめ

訪問着・色無地・付け下げが決まったら、次に迷いやすいのが帯揚げ・帯締め・バッグなどの小物合わせだ。Erii 和装小物店では、母親の着物に合わせやすい和装小物を、メルカリShops・楽天ラクマ・minneの3つの窓口で扱っている。

母親の和装小物そのものの選び方は、七五三・お宮参りの母親の和装小物選びで帯揚げ・帯締め・草履バッグの組み合わせ例を詳しく紹介しているので、あわせて確認してほしい。

よくある質問

七五三で母親は訪問着と色無地、どちらを着ればいいですか?

会場や好みで選んで差し支えない。訪問着は柄がつながる分だけ華やかに見え、色無地は紋の数で格を調整しやすいという違いがある。神社での祈祷を落ち着いた印象にしたいなら色無地、写真館での撮影も含めて華やかにしたいなら訪問着、という選び方が目安になる。

母親の着物は子どもの着物と色を合わせた方がいいですか?

まったく同じ色にそろえる必要はない。子どもの着物が華やかな色柄であれば、母親は淡い色でまとめて引き立て役にまわる方が、全体の写真がまとまりやすい。

七五三の母親の着物はレンタルと購入、どちらがおすすめですか?

今後も着る機会がありそうかどうかで判断するとよい。結婚式列席や卒業式など、数年内に着物を着る予定があるなら購入、七五三のためだけであればレンタルが手間を抑えやすい。

母親が紋付きの着物を着る必要はありますか?

必須ではない。近年は紋なしの訪問着や付け下げを選ぶ母親も多く、家や地域の慣習に強いこだわりがなければ、紋の有無で悩みすぎなくてよい。父親が紋付き袴を着る場合は、母親も紋付きにそろえると装い全体の格が安定する。

まとめ

ポイントは、母親の着物を子どもより控えめな格にそろえること、そして紋の数で格を細かく調整できることの2点にある。

  • 訪問着・色無地・付け下げは、いずれも準礼装として七五三にふさわしい
  • 父親・子どもとの格の釣り合いを優先し、年代はあくまで目安として考える
  • レンタルと購入は、次に着る機会の有無で選び分ける

文化庁の調査でも触れられているとおり、和装の経験がない人は半数を超える。着物選びに迷うのは、決して特別なことではない。Erii 和装小物店では、母親の着物選びに悩む方に向けて、これからも和装小物とあわせた具体的なコーディネート例を発信していく。

著者プロフィール:Erii(Erii 和装小物店 店主)

取引5,878件・評価★5.0のハンドメイド作家。和装をカジュアルに楽しむ小物を制作・販売しながら、Erii 和装小物店で七五三・成人式など人生の節目の装いについて発信している。

最終更新: 2026年8月18日(2026年8月時点の情報にもとづく)

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個人の感想・見解を含みます。着物の格に関する考え方や慣習は地域・家によって差があるため、最終的な判断はご家族や当日利用予定の呉服店・写真館にご確認ください。

詳しくはプライバシーポリシー免責事項をご覧ください。ご質問・お問い合わせはお問い合わせフォームから受け付けています。

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