半衿の付け方|縫う方法と縫わない方法の手順
目次
半衿の付け方は2種類。縫う方法と、縫わない方法があります
半衿の付け方は、大きく2種類あるとされています。「針と糸で縫い付ける伝統的な方法」と「針を使わない簡単な方法」です(ADESSO)。
縫う場合に揃えたいのは、細めの縫い針、縫い糸、まち針、衿芯の4つです。縫わない場合は、半衿用両面テープまたは安全ピンと、衿芯の3点が最低限の道具です(同じくADESSO)。
Erii 和装小物店では、公開されている複数の手順を読み比べ、初めての方が迷いやすい点を整理しました。このページでは、素材、用意するもの、縫う方法、縫わない方法、衿芯、出典ごとの違い、よくある質問の順にご案内します。
✎ 作家Eriiの体験から
Erii 和装小物店を営む作家のEriiです。子育てママ作家で、娘の七五三と、友人の成人式のヘアメイクのお手伝いをきっかけに、和装小物の世界にのめり込みました。帯締めや帯留めなどの和装小物を制作・販売しています。
半衿とは|季節と格で選ぶ素材
半衿は、長襦袢の衿に付ける布です。衿元から見える部分なので、季節に合った素材を選ぶと、衿元のおしゃれにつながります。
きものと(京都きもの市場)によると、半衿は、夏の薄物に合わせる夏の半衿と、それ以外の袷の着物に合わせる半衿の2種類に分かれます。
- 夏の単衣に合わせるのは、楊柳や絽縮緬です。
- 薄物には、柔らかな風合いの絽、シャキッとした風合いの麻、透け感が涼しげな紗を合わせます。
- 袷の季節には、もっともポピュラーな塩瀬、やや暖かい季節に向く縮緬、ビロード素材のモールなどです。
品格のある正礼装の着物には、塩瀬の白半衿を合わせるのが正式とされています。また、お茶席に着用する場合は白い半衿を選びます(同じくきものと)。
付ける前に用意するもの(縫う場合・縫わない場合)

| 付け方 | 用意するもの |
|---|---|
| 縫う場合 | 縫い針(細めのもの)、縫い糸、まち針、衿芯 |
| 縫わない場合 | 半衿用両面テープまたは安全ピン、衿芯 |
出典はいずれもADESSOです。衿芯は、衿の形をしたプラスチック製の芯で、半衿をピンとさせきれいな衿元のラインを作ります(きものと)。
さんび公式オンラインショップの手順は、差し込みタイプの衿芯を使う前提で書かれています。この記事も、差し込みタイプの衿芯を通す流れです。
縫う方法の手順(外側を縫ってから内側へ)

ここでは、日本和装 きもの知恵袋「半衿の付け方」の工程を、順番どおりに紹介します。針目や間隔の数字は、すべてこの出典の値です。他の出典との違いは、後の表にまとめました。
- 半衿の両端を裏側に1cm折り返し、マチ針でとめます。
- 糸で縫います(縫込み完成)。
- 長さ半分に折り山になるところで、糸印をつけておきましょう。
- 半衿の中心3cm、両端で1cm、その間で2cmのところにマチ針をうちます。
- 大きく仮縫いをしておくと、つけやすいです。
- 長襦袢の背中心と半衿の中心の糸印を合わせ、マチ針をうちます。
- 衿を平に置き、衿と半衿が自然に沿うようにマチ針をうちます。
- 中心と端の間は、縫いやすい間隔でマチ針をうちましょう。
- なるべく折り山に近いところを、2cm間隔で縫いつけていきましょう。
- 裏側にかえして、衿で衿をくるむように背中心と半衿の中心をあわせ、縫いやすいように全体にマチ針をうちます。
- なるべく折り山に近いところを、表側と同様に糸で縫いつけます。
- 仮縫いの糸を抜いて、半衿の装着が完成です。
手順4の数字は、出典の書き方のままです。迷ったときは、出典の図や写真もあわせて確認してください。
縫わない方法|半衿用両面テープと安全ピン
針と糸が苦手でも、半衿は付けられます。ここでは、テープを使う方法と、安全ピンを使う方法を紹介します。
半衿用両面テープを使う
半衿用両面テープは、針と糸を使わずに半衿を付けられる、簡単で便利なテープです。これは販売元である京都きもの町 公式ブログの説明です。テープを長襦袢側に接着するので、半衿を引っ張りながら付けられ、きれいに仕上がるとされています。
テープを先に貼る相手が、京都きもの町とADESSOでは逆です。そのため、出典ごとに分けて紹介します。
京都きもの町の手順(テープを先に半衿へ)
- 前準備です。半衿にアイロンを当てて折りしろをつくり、片側の折りしろは1.5〜2.0cmにしてアイロンをあてておきます。
- テープの片面を、半衿の折りしろに接着します。ポイントは、少しずつ非粘着面を剥がしながら接着していくことです。
- 長襦袢の背中心から半衿を接着する工程です。背中心から左右の衿先に向かって、粘着面をそれぞれの方向に付け、軽く押さえます。
ADESSOの手順(テープを先に長襦袢へ)
- 長襦袢の衿の表側に、半衿用両面テープを貼ります。位置は、衿の端から2mm〜3mm程度内側です。背中心から衿先に向かって、左右両方に貼ります。
- テープの剥離紙(保護フィルム)を剥がして、半衿を上から貼り付けます。
テープの貼り方は商品ごとに異なる場合があるため、お手持ちのテープの説明書も確認してください。
安全ピンを使う
ADESSOが紹介する安全ピンの使い方は、次の流れです。
- 半衿の中心と長襦袢の衿の中心を合わせて、背中心の部分を1つの安全ピンで留めます。
- 次に、衿先の部分を左右それぞれ1カ所ずつ留め、さらに中間地点を数カ所留めていく流れです。
- 片側に5〜6カ所、両側で合計10〜12カ所程度留めれば、十分に固定できます。
安全ピンを使う際は、必ず外側から内側に向かって留めることが大切です(同じくADESSO)。
ただし、安全ピンは縫い付けやテープほど確実な固定ではありません。生地がズレやすく、衿にシワが寄りやすくなる点には注意が必要です(同じくADESSO)。
衿芯を通して仕上げる
半衿を付けたら、襦袢と半衿の隙間にはめ込みタイプの衿芯を通しておくと、衿にハリが出てより美しくなります(きものと)。
さんび公式オンラインショップの手順は、外側の衿付けを終えてから内側に進む流れです。長襦袢の内側(裏側)を出し、長襦袢の衿幅に合わせて半衿を折ります。外側と同様に、背中心から両肩あき、半衿の端までマチ針を留め、半衿の端からくけ縫いをしていきます。端まで縫えば、内側の衿付けが完成です。衿芯を長襦袢の内側の衿に差し込んで、完成です。
差し込む衿芯は、長襦袢の衿の内側に入れます。外側に差し込むと、着たときに衿芯の形が表に響くので注意が必要です(同じくさんび)。
出典によって違うところ(針目・縫い始め・折り幅)
半衿の付け方は、出典によって数字や順番が少しずつ違います。どれかが間違いというより、流儀の違いと考えられます。初めての方は、1つの出典を選び、その数字で通して進めると迷いにくいです。
| 出典 | 縫う順・縫い始め | 折り幅 | 針目 | まち針 |
|---|---|---|---|---|
| きものと | 衿の中心から衿のフチを並縫い | 端を1センチ程度裏側に折り返す | 中心から肩山までは細かく、肩山から端は表の縫い目が2〜3センチ、裏が1センチ糸が見えるように | 襦袢の衿に1〜1.5センチ重ね、背中心と肩山で留める |
| 日本和装 | 表側を縫ってから裏側にかえす。縫い始めは記載なし | 両端を裏側に1cm折り返す | 折り山に近いところを2cm間隔 | 中心3cm、両端で1cm、その間で2cm |
| いと善呉服 | 外側から。端は返し縫いで始める | 両端1cmほど内側に折ってアイロン。内側は表側より少し広めに幅をとる | 1cm間隔。裏は地衿の端を少しだけすくう | 半衿の中心と背中心、両端、その間の順 |
| さんび | 半衿の端からくけ縫い | 両端を2、3cm折り込む。耳の片方は約1.5cm裏に折り込む | くけ縫いで0.5〜0.7cmくらい | 背中心から、両肩あき、半衿の端まで |
| きものカルチャー研究所 | 長襦袢の裏から付ける。縫い終えたら半衿を折り返す | 縫い代は1cm〜長襦袢の衿幅によって決める | 1.5〜2cmの大きな縫い目。背中心から肩開きまでは1cm | 中心の次に、肩開きから2cm外側。5mm〜8mm半衿をつらせて留める |
| ADESSO | 内側を先に縫う。縫う位置は衿の端から2mm〜3mm内側 | 中心付近は両端を2.5cm、衿先は約1.5cm | 背中心付近は0.5cmほど、後は1.5〜2cm程度 | 背中心あたりは約4cm間隔、肩のあたりを過ぎれば7〜8cm間隔でも大丈夫 |
きものカルチャー研究所の「長襦袢の裏から付けます」は、表裏がどの面を指すかが原文では説明されていません。そのため、ここでは原文のまま載せています。
ADESSOは、長襦袢の衿幅を次のように説明しています。背中心付近が約5.5cmで、衿先に向かって徐々に広くなり、衿先では6.5〜7cmです。きものと(京都きもの市場)も、衿先に行くほど半衿の折り込み部分は少なくなるとしています。
いと善呉服が内側の幅を広めにとるのは、「着装時のカーブで内側がたるまないように」するためです。さんび公式オンラインショップは、半衿を折り込むのは長襦袢の地衿に紐が付いている場合などの長さ調整のためとしています。折り幅の考え方も、出典ごとに違います。
よくある質問
半衿は縫わずに付けられますか?
付けられます。方法は、半衿用両面テープか安全ピンです。ただし安全ピンは、縫い付けやテープほど確実な固定ではありません。生地がズレやすく、衿にシワが寄りやすくなるとされています(ADESSO)。
衿芯は、襦袢の内側と外側のどちらに入れますか?
長襦袢の衿の内側です。外側に差し込むと、着たときに衿芯の形が表に響くので注意が必要です(さんび公式オンラインショップ)。
どの半衿を選べばよいですか?
袷の季節にもっともポピュラーなのは塩瀬です。正礼装には塩瀬の白半衿を合わせるのが正式で、お茶席でも白い半衿を選びます(きものと)。夏の薄物に合わせるのは、絽、麻、紗などです。
半衿と一緒に知っておきたい重ね衿(伊達衿)
重ね衿(伊達衿)は、半衿とは別のアイテムです。選び方は、Erii 和装小物店の重ね衿ガイドをご覧ください。振袖の色の合わせ方は振袖の重ね衿の色選び、商品は重ね衿のカテゴリーからご覧いただけます。
Erii 和装小物店では、和装をカジュアルに楽しむための情報を、これからも発信していきます。
Erii 和装小物店のおすすめ
Erii 和装小物店では、半衿で整えた衿元に色を重ねる重ね衿を制作・販売しています。色や素材は商品ごとに異なるので、商品ページでご確認ください。Erii 和装小物店のメルカリショップでもご覧いただけます。
この記事を書いた人:Erii
「Erii 和装小物店」作家。子育てママ作家です。娘の七五三と、友人の成人式のヘアメイクのお手伝いをきっかけに、和装小物の世界にのめり込みました。「和装をもっと気軽に、カジュアルに可愛く!」をモットーに制作しています。
※本記事は一般的な情報提供を目的とした内容で、個人の感想・見解を含みます。半衿の付け方の細部は、着付け教室や販売店によって考え方が異なる場合があります。
最終更新: 2026年10月20日/詳しくはプライバシーポリシー・免責事項・運営者情報をご覧ください。
この記事で紹介した和装小物はメルカリショップで販売中です
Erii 和装小物店を見る →


